老紳士さりげなさにも気品あり

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ある時ある祝賀会で何時もお元気な姿をお見かけする老紳士は、此の年も
お元気そうで、通り一片のご挨拶が済んで、個々のお話が弾み始めると
何気なく肩を叩かれて「元気になって良かった」と労を労って下さった。

「何時もお変わりなくお元気そうでなによりです」と云うと手にした名刺の裏にサラサラと書いて渡して下さった。

名刺の裏には・・・

「女房が美しすぎて死に切れず」とは。

相変わらず良い男はやる事が違うと思った。とても女には出来ない芸当である。

別れ際に差し出された手の温もりは「来年も元気に逢えるよう頑張りなさい」と口に出さない言葉が心に沁みて来るのだった。

ギスギスした時代、こうゆういい男がいなくなったと思う。

暫くお目にかかっていないが、お元気だろうかと思いながら書いている