兄のやさしさ
始めて眼にした大きな筍です。
朝四時に起きて掘ってきたそうです。鮮度が落ちない内にと
急いで宅急便で届けられたのでした。東北震災で野菜が高い春を
心配し横須賀の春キャベツと大根も入れ送られてきました。
姉の優しさが身に浸みる贈り物で必ず自分で作った一品が偲ばせて
あるのです。
兄と姉の優しさに故郷で過ごした幼い日が重なり暫くの間は、幼い日に戻るのでした。
兄に乗せて貰った馬の背から見た視界の広さ・風を切って走る爽快さと
振り落とされそうな恐怖心・肌を伝わってくる兄の暖かさ・雪を被った浅間山が
夕日に染まる美しさ・・・姉の花嫁姿の美しかったこと。
過ぎた日も年老いた今も元気に過ごせる幸せを噛み締めキッチンに立つのでした。